第8話「カシノナガキクイムシの仕業」
皆さんこんにちは!ヨッしぃです!
今回ご紹介するのは、カシノナガキクイムシです。
①カシノナガキクイムシ?
②カブトムシやクワガタを探す為に
③なんなんだ、これは。。。。!
④はたしてその正体は!?
⑤カシナガに食われた木は?
⑥カシナガとは
⑦ナラ菌を培養し自給自足!
⑧カシナガは真の悪者ではない?!
①カシノナガキクイムシ?
「なんですの、それ。(~_~;)」
いや。
つい最近までの僕の反応です。
通称カシナガ、というこの昆虫、実はまだ実物を見たことがありません。
なので写真もありません。
かわりに絵を書きました。
ほんと、すみません。。。。
見たこともないのに、身近に出会った生き物として紹介するのか?!と言われそうですね。
たしかに、”本体“とは出会ったことはないんですが、今回そいつの”仕業“に出会い、カシナガを知ることになったので、皆さんにご紹介することにしました。
②カブトムシやクワガタを探す為に
少し話は戻りますが、2020年のお盆、ある日の暑い昼下り、僕は車で30分くらいのところにある里山にいました。
そこは昨年、カブトムシやクワガタがいそうなクヌギの木が群生しているのを確認していた、
まぁ、自分の中での
『今度絶対行ってみたい!』
の要チェックエリアだったんです。
ちょうどその日、時間ができたので行ってみることに。
でも、いきなり夜、カブクワを探しに来るのは無謀です。山は昼間と夜は全く違う景色になります。
いそうな木、樹液の出ている木を昼間のうちに下見しておく事が大切なんですね。
さらに、崖や段差、沼地の有無など、いろいろな危険ヶ所も把握しておく必要があります。夜になると本当に真っ暗になるので危ないんです。そういうのも含めて、下見、ですね。
初めて行くような所は特にです。皆さんもくれぐれもご注意を!
③なんなんだ、これは。。。。!
で!です。前置きが長くなりましたが、その下見の最中のこと。
いくつものクヌギを見て回り、樹液が出ていないか探し歩いていました。
その時、何本かの木で同じ光景に出くわしました。
それは、木の根本に、おがくずの様な細かい木の粉が落ちているんです。
おがくずのような、というか、おがくずですね、完全に。
それも、落ちているというより降り積もっている、ような感じです。
最初はあまり気にしていなかったんですが、いくつかそんな木を見ているうちに、どうもおかしい、と思うようになりました。
『誰かが上の木の枝を切ったのか?』
見上げますが、そんな形跡はありません。
でも、そのおがくず、けっこう新しいんですよね。
ひとけのない雑木林。
あちこちに謎のおがくず。
なんだか気味が悪くなってきて、早々に退散しました。
あ、一応樹液の出ている木も見つけましたよ♪
④はたしてその正体は!?
で、そのおがくずの様子を撮った画像を、僕の知り合いに、正確にはその人の子供さん(中学一年生)にメールで聞いてみました。その子は根っからの昆虫好きで、もう、大人の研究者顔負けでして、専門のネイチャー紙にも掲載されるほどなんですが、すぐに返信がありました。
「これはカシナガの仕業やな。と、息子が言ってます」
と、返信が。
それでようやく、このカシノナガキクイムシ(カシナガ)を知りました。
ようするに、キクイムシ、木を食う虫、なんですね(実際には木を食べているのではないですが)。
カシナガは幹に穴を開け、木の中に侵入するんですが、その際に出た木のクズがこのおがくずの正体でした。
カシナガ自体は見てないんですが、おそらくすぐ近く、もう目の前に(の木の中に)いたと思われます。
なので出会ったことにしてください!(笑)
⑤カシナガに食われた木
ところで、皆さん、お近くに山はありますか?高い山でも低い山でもかまいません。山が無いと言う方は、どこか遠くの方にでもいいので、山が見える所に行った時、ちょっと注意して見てもらいたいんですが、春や夏、周りの緑に覆われた木々の中に、一本だけまっ茶色の葉をたくさんつけた大きな木がありませんか?
そんな木がここにも、あ、あそこにも、と言うふうに何本か見つかるかもしれません。もちろん、紅葉の時期ではないのに、です。要するに枯れているんですね。
これがいわゆる「ナラ枯れ」です。
僕も最近まで気にしていなかったんですが、いったん気になり出すと、いろんなところで目撃するようになりました。
で、この原因となるのが、このカシナガなんです。
全長4.5mm程の小さな小さな虫が、見上げるほどの大木を枯らしてしまうんです。
そして枯れた大木はやがて倒れます!
正確には、カシナガが運んできた「ナラ菌」という菌により、樹木に栄養が行き渡らなくなり枯れてしまうんです。なので木を食べてしまうのではありません。
⑥カシナガとは
カシナガは6月頃羽化し、オス達が一斉に飛び立ちます。そして、巣穴作りに適した、カシ、シイ、ナラ類の衰え始めた大木を探します。特にクヌギやコナラといった、よくカブトムシやクワガタムシが集まりそうな木を想像してもらえれば良いかと思います。
そして、気に入った木を見つけると、体が入れるほどの小さな穴を開け、幹内に侵入します。そして、他のオス達もその木に呼び寄せるんです!
「ここにいい木があるぞ!」と。
まだ、その時点では枯死にはつながらないんですが、ここからです!
⑦ナラ菌を培養し自給自足!
穴を開けたオス達は、今度はメスを呼び寄せます。オスの開けた巣穴をメスが気にいると夫婦となり、繁殖活動が開始されます。その際、メスの背中の小さな穴に付着している「ナラ菌」と言う菌の胞子が巣穴の壁面に着き、増殖します。そして、生まれてきたカシナガの幼虫はそのナラ菌を食べて成長するんです!要するに、幼虫の餌を培養しているんですよ!実はこれ、すごいことで、これを発見した学者が、この培養餌を、ギリシャ神話の神様が食べたとされる不老不死の食物、アンブロシア(菌)と名付けたんですねー。それ程驚異的な発見だったようです。1850年頃のお話です。
そして、木にとって最大の致命傷はこのナラ菌の感染により破壊された細胞が樹木の導管(根から吸収された養分が通る管)につまり、栄養が行き渡らなくなること。それが結果的に枯れると言うことになるんです。
⑧カシナガは真の悪者ではない?!
カシナガの駆除や防御といった措置を取る自治体があったりと、いかにも悪者イメージの強い昆虫ですが、最近外国からやってきた外来種ではなく、昔から元々日本に生息していたと言われています。そもそも生き物にに悪者なんていないんですけどね(´;ω;`)。
人間以外は。
ナラ枯れは2002年頃から新潟県を中心に急速に広がり、今や日本各地で見られるようになりましたが、元々は生命力の衰えた大木を倒し、新たな若い木が育つ、山の若返りを手助けしていたと言われます。倒された木は腐食し、いずれまた土に帰ります。これも自然の流れなんです。
それがなぜ、急速な広がりを見せたかと言うと、1960年頃までは、ブナやシイ、ナラ等の木は薪などの燃料の為に定期的に伐採されていました。ところが、燃料が石油や電気、ガスに移行し、それらの木が放置されることになり、カシナガの好む大木にへと次々に成長したのです。あとは、地球の温暖化により、それら巨木が衰えてきている、と言うことも考えられます。
ドキっ!
ということは、その原因の原因を作っているのはまたしても人間なのでは。。。。?!
しかし、カシナガ被害(被害というのも人間目線ですね)もピークは過ぎたと言われています。
また、カシナガに寄生された木も、必ず枯れるということではないので、森全体が枯れ山になることはありません。
まぁ、こういった爆発的な発生も、長い自然の歴史からすればごくごく一瞬の出来事なのかもしれませんね。
と言うわけで、今回は、とても興味深い生き方をするカシノナガキクイムシをご紹介しました!
最後に、重ねて、昆虫の写真がなくてゴメンナサイ!でした(^.^;
もし、今後カシナガ見つけたら掲載します!
では、またお会いしましょう!